母子分離不安を乗り越え、きらめきを取り戻した冬
あの暗闇の三週間を経て、
季節はゆっくりとクリスマスのきらめきに包まれようとしていました。
そのころ、娘の表情にかすかな変化が生まれたのです。
ある日、娘がポツリと口にしました。
「サンタさん、デイサービスに来るかな?」――
私から一瞬も離れられず、「怖い」という言葉を繰り返していた娘が、
自分から、外の世界とのつながりを求めた瞬間でした。
その日を境に、娘はデイサービスに自ら通い始めました。
冬休みに入り、妹たちも一緒だったことが大きな安心につながったのでしょう。
デイサービスでの穏やかな時間が、
凝り固まっていた娘の心を少しずつ解きほぐし、
以前の快活な笑顔が戻ってきたのです。
クリスマス。飾り付け。大晦日。親戚との再会。お年玉。
そして、母の料理ではない豪華なごちそう。
年末年始の明るく楽しい出来事がまるで魔法のように重なり、
娘の心に宿る「好き」や「楽しい」という生きるエネルギーが、
再び満たされていきました。
その回復力には、驚きと安堵しかありませんでした。
私は、親戚の賑やかな声の中で、
娘が妹たちと笑い合っている姿を、ただじっと見つめました。
その笑顔は、純粋な子どもの輝きでした。
その姿を見ながら、私は心の中で、
深く、静かに、そして確固たる決意を固めていました。
「もう、あの一斉教育の場には戻さない。母親の意思として、娘を追い詰める環境には行かせない。」
未来がどうなるかは、その時点では全くわかりませんでした。
不登校が続くのか、別の道を探すのか、何もかもが不確かです。
しかし、娘が今、心から笑えている――この現実こそが全てだと感じました。
「これでいいんだ。今は、これで十分だ」と思えた瞬間、
張り詰めていた私の心も少しだけ解放されたのです。



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