診察が終わったあと、私たちはしばらく待合スペースで待ちました。
そしてしばらくすると、看護師さんから呼び出しがありました。
次は、入院時に持ち込む荷物の確認です。
精神科病院への入院には、持ち物にさまざまな制限があるということは、私も事前に聞いたことがありました。
例えば、ひも状のものは自傷防止の観点から持ち込めない場合がある。
危険につながる可能性のあるものについては、制限されることがある。
ただ、今回は入院が決まったその日に、急いで荷造りをすることになりました。
何を持ち込めて、何が持ち込めないのか。
事前に一つひとつ確認する時間はありませんでした。
ケースワーカーさんからも、
「必要だと思うものを持って行って、持ち込みできるかどうかは病院で確認してください」
と言われていました。
そのため、大量の荷物をそのまま病院へ持ってきていました。
そして、いよいよ看護師さんによる荷物のチェックが始まりました。
ところが、確認を進める看護師さんの様子を見ていて、私は少し気になることがありました。
持ち込みできるものとできないものについて、判断に迷っているように見えたのです。
「これはどうだったかな……」
そんな戸惑いが、態度からも伝わってくるようでした。
そして実際に、いくつかの持ち物について持ち込みができないと説明されました。
まず、タオルとバスタオル。
こちらは病院でレンタルがあり、1泊500円で貸し出しているとのことで、持参したものは持ち帰ることになりました。
次に、ズボンについているひも。
こちらは自傷防止のため、すべてその場で抜くよう指示されました。
さらに、延長コードや充電器についても、同様の理由から持ち込むことができませんでした。
そして、夫が持ってきたパソコン。
パソコンについては、患者さんの状態によって持ち込みが認められる場合もあるそうですが、充電についてはナースステーションで行うとの説明でした。
ここまでは、私も夫も話を聞いていました。
けれど――。
このあたりから、夫の様子が変わり始めました。
事前に、ここまで細かい持ち込み制限について説明がなかったこと。
そして、看護師さん自身が持ち込みの可否について、少し曖昧な態度に見えたこと。
それが夫には大きな不信感につながったのだと思います。
まるで、何かのスイッチが入ったかのようでした。
夫は突然、強い口調で看護師さんを問い詰め始めました。
「これが持ち込めないのは、あなたの判断ですか?! はっきりしてください!」
突然の強い口調に、看護師さんは明らかに戸惑っているようでした。
けれど夫の怒りは収まりません。
「あなたの判断ですか? 病院の判断なのですか?!」
「分からないのであれば、上司に確認してください!」
厳しい口調で、次々と言葉を浴びせます。
私は慌てて夫に声をかけました。
「ちょっと、パパ? 落ち着いて?」
「口調がきついよ」
「少し落ち着こう?」
何度も話しかけました。
けれど、夫の目は怒りに満ちていました。
私の言葉が届く余地など、もうないように見えました。
夫は、何かに強く反応すると、周囲の声が届かなくなることがありました。
まさに、その状態だったのだと思います。
看護師さんも、どう対応していいのか困惑しているようでした。
そして、
「少し確認してきますので、お待ちください」
そう言い残し、動揺した様子で部屋を出ていきました。
部屋に残された私たち。
せっかく入院することが決まり、ようやく医療につながることができた。
少し安心していた矢先でした。
けれど、入院初日から、また夫の感情が激しく揺れ始めていました。


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