兄の話を続けたいと思います。
長兄が探してくれたので、斎場が決まりました。
斎場の方に兄の遺影写真を送信したり、必要なことを確認したり。
何をしていたのか、今となっては細かく思い出せませんが、みんなでばたばたと動いていたような気がします。
今でも、そのときのLINEのやり取りが残っています。
たまに見返すことがありますが、あのときのことを思い出して、心が痛くなります。
父は、兄の職場にも訃報の連絡を入れました。
元奥さんの協力もあり、兄の友人たちにも連絡をとりました。
そして、葬儀場の方から提案していただき、兄が好きだったスーツを着せて送り出すことになりました。
おしゃれが好きだった兄。
下着、靴下、スーツ、ネクタイ。
きちんと身支度を整えてもらい、びしっとした格好で兄を送り出すことができました。
亡くなって硬直してしまっている体に、いったいどうやって着せてくださったのでしょう。
私たちには分かりません。
それでも、きれいに身支度を整えて送り出してくださったことに、今でも感謝しかありません。
ただ、ときどきふと思います。
向こうの世界でも、兄はスーツを着ているのでしょうか。
「ネクタイなんかして息苦しくないのかな」
そんなことを考えてしまうことがあります。
そして、お葬式の日。
たくさんの知人の方が来てくださいました。
突然のことだったうえに、理由が理由です。
みなさん、驚きを隠せなかったと思います。
昨日まで普通に働いていた兄、突然いなくなってしまった兄のことを、まだ信じられないような表情をされている方もいました。
私たちは、お葬式に来てくださった方々への感謝の気持ちを込めて、自分たちで菓子折りを用意しました。
イオンで、大量の菓子折りを買いました。
あのときの私たちは、周りからどんなふうに見えていたのでしょう。
大切な人を突然失った家族が、たくさんの菓子折りを抱えて歩いている。
今になって、ふと思うことがあります。
あのときの私たちは、何を考えていたのでしょう。
何をしているのかもよく分からないまま、それでも兄を送り出すために、必死に動いていたのだと思います。
つづく


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