警察署に向かうまでの時間、私は両親にも電話をしました。
母とは話すことができず、父と話しました。
電話の向こうからは、ばたばたと何かを準備しているような音が聞こえていました。
その様子から、両親も相当なパニック状態になっているのだろうと察しました。
「○時に家を出て、○時には着くように行くから」
父はそう言いました。
背後では、相変わらず何かを準備している音が聞こえていました。
私は、自分でも分かるくらい憔悴しきっていました。
だからこそ、両親もきっと同じような状態なのだと思いました。
両親が住んでいるところから、警察署までは車で3時間ほどかかります。
しかも、その日は雪道でした。
私は両親のことが心配になりました。
「車でこっちに来ない方がいいんじゃない?雪道だし、精神的にパニック状態だと思うし……」
私はそう伝えました。
けれど父は、
「いや、運転していく」
と言いました。
何度か心配だと伝えても、父の答えは変わりませんでした。
私は電話を切ったあとも、両親のことが気になっていました。
自分自身も、何が起きているのか分からないほど動揺している。
そんな状態で、両親も同じような精神状態のまま、雪道を3時間運転して警察署まで向かう。
そのことが、とても心配でした。
兄の死を知らされたその日。
私自身も、両親も、まだ現実を受け止めることができていませんでした。


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